11月13日(水)
「本物の落語を聴く会」がありました。4年生、5年生、6年生が参加しました。
この日の演題は「まんじゅうこわい」でした。







町で若者の寄り合いがありました。次から次へ恐いものを言い合いました。

「おれはへびが恐い。あの動き方が嫌だ。」

「おれはたぬきが恐い。お化けに姿を変えるから。」

「おれはクモだ。クモの巣はねばねばする。」

「おれはコウモリだ。夜飛びやがる。」

「おれは毛虫だ。葉っぱの裏に隠れていやがる。」

「おれはアリだ。一列になって動きやがる。」

みんな恐い物を話す中で一人だけ黙っているものがいました。

「おい、松ちゃん。恐いものはないのかい。」

「恐い! 恐いもんなんか何もないよ。」

「へびもクモもお化けも恐くないんかい。」

「そんなものは恐くないよ。」

「へび、そんなものは頭が痛いとき、頭にまきゃ涼しくならあ。」

「たぬき、お化けが出たら、料理して、洗ってきれいにしてやらあ。」

「クモ、納豆に混ぜてかき回してやらあ。」

「コウモリ、傘にしてやらあ。」

「毛虫、棒をさして歯ブラシにてやらあ。」

と突然話すのを止めてしまった。

「どうしたんだい。」

「恐いものを思い出しちゃった。」

「それはなんだい。ぜひ教えてくれよ。」

「まん、まんじゅうが恐い。」

「まんじゅう、そりゃどういう動物だい。」

「動物じゃないんだ。店で売っているものなんだ。ああ思い出しただけで気持ち悪くなる。」

顔色がみるみるうちに悪くなってきた。

「ああ、座ってられない。となりの部屋にふとんをしいてくれ。」

床に入ると、とうとう毛布で顔をおおってしまいました。

これを見て、みんなは笑って、いたずらをすることにしました。 

数人が町へ出かけて色々なまんじゅうを買ってきました。

酒まんじゅう、温泉まんじゅう、そばまんじゅう、栗まんじゅう、

赤まんじゅう、白まんじゅう、葬式まんじゅう、肉まんじゅう色々です。

おぼんにまんじゅうを乗せると、こっそり床に枕元に運び、気がつくのを待ちました。

「ねえ。松ちゃん。起きなよ。もうお開きだよ。」

「わかったよ。起きるよ。でももうまんじゅうのことは言わないでくれよ。」

「わかったよ。もう話さないよ。」

大きな叫び声が聞こえた。

「うわ、まんじゅうだ。まんじゅうが一杯だ。」

となりの部屋のみんなは大満足。

「おいみんな、どうしてこんなことをするんだよ。約束しただろう。まんじゅうこわい。まんじゅうこわい。」

大きな声をあげれば上げるほど、みんな大喜び。

「うわ、酒まんじゅうだ。恐い、恐い。」

「うわ、栗まんじゅうだ。恐い、恐い。」

「うわ、まんじゅう恐い。おいし・・。こわい・・。」

様子のおかしいのに気がついて部屋の中を覗いてみました。

「うれしそうだぜ。まんじゅう食ってるぜ。こりゃだまされた。ねえ、松ちゃん、一体何が恐いんだい。」

「おいしいお茶が恐い。」



本物の落語は楽しかったですか?
貴重な機会でしたね。